株主優待制度とは、どのような制度ですか?

1 はじめに

株主優待制度とは、企業が自社の株主に対し、自社商品やサービスなどを贈る制度です

株主優待について、多くの雑誌などで取り上げられ、多くの方が聞いたことがあると思います。

ここでは、東京証券取引所に上場している株式会社を前提に説明します。

このコラムは、株主優待制度について、会社法という視点から、個人的な見解を記載したものです。

2 株主優待制度

それでは、株主優待制度とは、どのような制度なのでしょうか。

株主優待制度とは、企業が自社の株主に対し、自社の商品やサービスなどを贈る制度です。

例えば、外食事業を営む株式会社が自社の食事券を株主に配布したり、食品を製造、販売する株式会社が自社商品を株主に配布したり、鉄道事業を営む株式会社が、自社の無料乗車券や乗車券の割引券を株主に配布したりする場合があります。

また、カタログギフトやクオカードなど、自社商品やサービスと直接関係のないものが株主優待品となっている場合もあります。

株主優待を受け取るためには、一般的に、当該企業が定めた基準日において、当該企業が定めた条件を満たす必要があります。

企業によっては、一定期間以上、同一の株主番号で株式を保有していることを条件としていたり、一定期間以上保有すると、もらえる株主優待が増える場合もあります。

もちろん、株主優待制度を採用していない株式会社も多くあります。

3 株主優待制度と株主平等の原則

会社法第109条1項は、株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない旨規定しています。

会社法第109条1項は、株主平等の原則を定めたものと考えられます。

株主優待制度は、必ずしも、持株数に応じて比例的に受け取ることができるものではありません。

例えば、100株を保有する株主が受け取ることができる内容と1000株を保有する株主が受け取ることができる内容が1:10にならない場合も少なくありません。例えば、100株以上の株主が受け取ることができる株主優待の内容が同一である場合もあります。

個人的な見解ですが、株主優待は、その制度内容にもよりますが、優待の程度が軽微であれば、株主平等の原則に反しないと考えられます。

4 まとめ

株主優待制度については、株主優待制度が廃止されたり、変更されたりする可能性があることには、留意する必要があると思います。株主への公平な利益還元を理由に、株主優待制度を廃止する企業もあります。

また、当然ですが、株式は、値動きがありますので、株式を購入した後、株価の変動により、購入金額を割り込み、損失が生じる可能性があります。さらに、当該株式会社が倒産(会社更生、民事再生など)すると、通常、株式は、無価値になります。

会社法、株式に関する法的問題について、分からないことがありましたら、弁護士までご相談ください。

執筆弁護士紹介

弁護士 寺部光敏
弁護士 寺部光敏
寺部法律事務所代表弁護士。
名古屋大学法学部卒業後、平成12年10月に弁護士登録。平成15年10月に寺部法律事務所を開設。「 前を向いて歩む”チカラ”になる」をモットーに開設当初から豊橋を中心とした東三河エリアに交通事故、債務整理、相続、離婚、企業法務などの法律サービスを提供。