【コラム】債権執行について
債権執行について
例えば、知人に100万円を貸して返してくれないため、訴訟を提起し、被告は原告に対し100万円を支払えという内容の仮執行宣言付き勝訴判決を得て確定したものの、相手方が支払ってこない場合、どのような手続をすればよいのでしょうか。
このような場合、例えば、相手方の預金口座の存在する金融機関、支店が分かっている場合には、預金の差し押さえをすることができます。 |
仮執行宣言付き確定判決は、債務名義になるので、執行文の付与を申し立てて、執行文を付与してもらいます。あわせて、判決の送達証明書を取得します。
執行文の付与を受けた判決正本、送達証明書を添えて、債権執行の申し立てをします。その際、第三債務者の陳述催告の申し立てもします。
裁判所は、申し立てに不備等がなければ、債権差押命令を発令し、まず、第三債務者に送達し、第三債務者に対する送達の時点で効力が発生します。裁判所は、債務者にも送達します。
第三債務者は、差し押さえにかかる債権の存在や弁済の意思等を陳述書に記載して提出し、これにより、債権者は、実際に差し押さえにかかる債権の存在の有無、金額等が分かります。金融機関は、債務者に対する貸付が存在し、相殺を主張する見込みの場合、差し押さえにかかる債務が存在する場合であっても、通常、弁済の意思はないと回答します。
債権者は、債務者への送達から1週間が経過した後、第三債務者から、取り立てることができます。
債権者は、第三債務者から取り立てたときには、通常、取立届を提出し、すでに取り立てた分を除き、債権差押命令を取り下げて、債務名義を返還してもらいます。
債権差し押さえにかかる債務が存在しない場合や金融機関が相殺等の主張により弁済する意思がない場合には、債権者は、通常は、債権差押命令を取り下げ、債務名義を返還してもらいます。