事務員、英国の思い出にふける ~Lambing season~

 
 「英国の春は黄色から始まるのよ。」

 日本へ帰国して3回目の春の訪れを感じる今ですが、それでもなお、英国滞在時に聞いた、フラワーアレンジメントの先生のお声が、頭の中で響き渡ります。
 
 日本の春のイメージは梅や桜のピンク色ですが、英国では地面から延びる水仙やタンポポの黄色が春の訪れを教えてくれます。
お花だけでなく、動物たちの活動にも春を感じます。この時期、毎年、各地のファームで週末にイベントが開催されます。

 

 

 羊好き事務員、羊のベイビー(ラムちゃん)を拝むべく、ファームへ出かけます!!
 ファームは、朝から大賑わいです。敷地内には広大な土地を利用して、ポニー乗馬体験やゲーム場、トラクターの台車に乗ってファーム内の周遊体験コーナーなどがありました。

 

 羊の毛刈り、糸紡ぎ実演もしています。アイスクリームを売る車もいたりで、ちょっとしたお祭り騒ぎです。

 小屋の中へ進み入ると、そこにはたくさんの羊の親子が。まだ生まれて間もない子羊ラムちゃんとお母さん羊が鳴き合っています。運がいいと、目の前で出産シーンに立ち会えることもあるそうなのですが、私はその機会に恵まれませんでした。

 

 

 なにより、私の目的は、ラムちゃんの抱っこです。俵がベンチ代わりに並べられているので、現地の子供たちに交じって私も座り、ファームのスタッフさんがラムちゃんを抱えてやってくるのを待ちました。いよいよ、人生初めて、生まれて間もないラムちゃんを抱っこです。ふわふわで温かい~~~。
生命の温かさを感じました。

 

 

 その後、少し大きくなった子羊たちに哺乳瓶を使ってミルクを与えたり(子羊たちの勢いがすごすぎて、むしろ奪われたに近い・・・)して、気持ちをホクホクさせたところではありますが、その後、リアルな農業を見学です。親を亡くしたラムちゃんのため、あるいはラムちゃんを亡くしたお母さん羊のため、血のつながらない親子を作る作業です。
 イベント参加者にもしっかりわかるように、そこには説明の看板がつけられていました。親子だと認識し合うまで、大人の羊はラムちゃんに怪我をさせないよう固定されているのですが、ちょっとそのお姿がかわいそうでした。
 そういう厳しい現実もありつつ、UKの羊たちは広大な放牧地でほのぼの過ごしている姿があるのだと知りました。また、ファームで働く皆さんが、命と向き合う大変なお仕事だということも、改めて再認識しました。

 

 

 そんな少ししんみりした気持ちで小屋を出た私でしたが、外ではファームのスタッフさんがにこやかに、ハンバーグやホットドッグを焼いて販売していました(ラム肉ではなかったと思いますが)。そうです。お仕事なのです。生きるということなのです。購入させていただき、美味しくいただきました。

 

 

 ちなみに、羊の鳴き声は、メェ~メェ~でなくバァ~バァ~と言った方がより似ています。英語表記でも、Baa...です。さあ、みなさん!声に出して練習してみましょう!