民事訴訟の手続の流れについて弁護士が解説

1 はじめに

民事訴訟は、どのような手続の流れで進んでいくのでしょうか。

ここでは、原告が被告に対し、貸金150万円を請求する訴訟を前提に簡潔に説明します。

なお、訴訟手続の進行は、事案によって大きく異なります。

個別の事案については、弁護士までご相談ください。

2 訴訟の提起

(1)訴訟の提起

原告は、訴状に、収入印紙、切手等を添付して、裁判所に提出します。

(2)管轄

どの裁判所に訴状を提出するかについては、管轄が問題となります。

地方裁判所か、簡易裁判所かについては、事物管轄といい、150万円の貸金を請求する訴訟の場合には、簡易裁判所ではなく、地方裁判所に管轄があります。

どこの裁判所に訴訟を提起するかについては、土地管轄といい、貸金の返還請求の場合、被告の住所を管轄する裁判所、義務履行地(民法上、持参債務が原則とされていますので、通常、原告の住所地となります)を管轄する裁判所が管轄裁判所として考えられます。

3 訴状の被告への送達

裁判所は、原告に連絡をし、第1回口頭弁論期日を決めて、被告に対し、訴状を送達します。

4 第1回口頭弁論期日

裁判所において、指定された日時に、第1回口頭弁論期日が開催されます。

(1)原告の対応

原告は、第1口頭弁論期日に出席します。

(2)被告の対応

第1回口頭弁論期日は、あらかじめ被告の予定を聞かずに決められた期日ですので、被告は、事前に定められた期限までに答弁書を提出していれば、第1回口頭弁論期日を欠席することができることが通常です。第1回口頭弁論期日に欠席する場合には、あらかじめ裁判所の書記官に連絡をいれたほうが良いと思います。

書面を提出せずに第1回口頭弁論期日に欠席すると、原告の請求を認める判決がなされることがあるので、注意が必要です。

5 第2回目以降の期日

被告が答弁書を提出して、原告の請求を争う姿勢を示した場合を前提として、第2回目以降の期日について、説明します。

第2回目以降の期日は、当事者双方の都合を確認したうえで定められることが通常ですので、当事者双方が参加する必要があります。

口頭弁論期日ではなく、弁論準備手続期日の形式で行われることが多いです。

当事者は、事前に主張を記載した準備書面や証拠などを提出し、期日において、裁判官が、当事者が提出した書面や証拠の確認を確認したり、次回期日の準備事項を確認したりします。

民事訴訟手続においては、書面が重視されていると思います。当事者の方が期日に出席して、口頭で言い分を言っても、裁判所が、これを全部記録して、記録に残すことは大変なことだと思います。通常、当事者の方は、言い分を準備書面という書面にまとめて提出します。準備書面が期日に先立って裁判所に提出されていれば、裁判官は、事前に準備書面を読んで、内容を把握して期日を開くことができますし、準備書面の内容に不明確な点などがあれば、期日において、質問などをして内容を確認することができます。

6 和解

裁判の期日のなかで、和解の話し合いがなされる場合があります。

当事者が合意に達したときは、和解が成立し、訴訟手続は、終了します。

7 尋問期日

当事者の主張の整理や書証の提出が終わり、争点を確認したタイミングで尋問が行われることがあります。

当事者尋問、証人尋問などが行われる場合があります。

尋問は、主尋問、反対尋問の順に行われることが通常です。主尋問、反対尋問が終わった後、裁判官から、質問を受けることがあります。

8 判決言渡し期日

審理が終わると、判決言渡し期日が指定されることが通常です。

判決言渡し期日には、判決の言い渡しがされます。

もっとも、判決言い渡し期日では、裁判官は、主文だけを読み上げて、理由は読み上げないことが通常です。

判決言い渡し期日に欠席をしても、判決書を受け取ることができます。

9 控訴

判決に不服がある当事者は、判決を受け取った後、法律で定められた期間内に手続をすることにより、控訴できることが通常です。

控訴審についての説明は、ここでは、省略します。

10 弁護士に委任した場合の弁護士の役割

(1)訴訟の提起

原告が弁護士に委任すると、弁護士は、訴状を作成し、裁判所に提出します。

(2)期日の出席

裁判の期日には、弁護士が出席します。

ご依頼者の方は、尋問期日等、特に当事者の出席が求められている場合を除いて、出席する必要はありません。

(3)準備書面、証拠の提出

弁護士は、ご依頼者の方とあらかじめ打ち合わせをしたうえで、ご依頼者の方の主張をまとめた準備書面を作成し、裁判所に提出します。

また、弁護士は、ご依頼者の方と打ち合わせをしたうえで、必要な証拠を提出します。

(4)当事者尋問、証人尋問

弁護士は、ご依頼者の方と打ち合わせをして、誰を証人尋問するかを検討します。

また、弁護士は、当事者尋問に先立って、ご依頼者の方と打ち合わせをして、主尋問のリハーサルをします。

(5)和解

弁護士は、和解について、ご依頼者の方に、助言をしたり、和解条項について、説明します。

(6)判決言い渡し

判決言い渡し期日には、通常、弁護士は、出席しません。

判決を受け取った後、弁護士は、ご依頼者の方に判決正本を送ります。

判決の内容によっては、控訴について、打ち合わせをします。

11 まとめ

民事訴訟手続について、分からないことがありましたら、弁護士までご相談ください。